第3章 入門編 量子力学の誕生
実験から入る量子力学
完璧だった古典物理学が崩壊した日——実験データが突きつけた「不都合な真実」。
19世紀の終わり、ニュートン力学と電磁気学によって、物理学はほとんど完成したと思われていました(序章で見たとおりです)。
ところが実験の精度が上がるほど、古典物理学ではどうしても説明できないデータが次々と出てきます。科学者たちが戸惑いながらミクロの世界の真実にたどり着くまでを、実験の順に追いかけます。
この入門編は、第3章と同じ量子力学に実験の側から入る道です。前半(3-A1〜3-A4)は数式をほとんど使わず、後半(3-A5〜3-A7)ではシュレディンガー方程式を自分の手で組み立て、確率解釈とトンネル効果まで進みます。
読み終えてから第3章へ進むと、同じ量子力学を今度は解析力学の言葉で見直すことができます。
3-A1古典物理学の破綻(黒体放射)
【問い】温かい物体は、なぜ光るのか
鉄を熱すると、はじめは赤く、さらに熱すると黄色っぽく、やがて白く光ります。
温度をもつ物体はすべて、その温度に応じた光(電磁波)を出しています。これを熱放射(黒体放射)と呼びます。人の体も、目に見えない赤外線を出しています。
19世紀末、この光の「色ごとの強さ」が精密に測られました。当時の物理学——電磁気学と熱力学——で、この測定結果は説明できるはずでした。
計算すると、エネルギーが無限大になる
古典物理学で素直に計算すると、とんでもない答えが出てきます。
波長の短い光ほど、たくさんのエネルギーが割り当てられる。波長をどんどん短くしていくとエネルギーはどこまでも増え続け、全部足し合わせると無限大になってしまうのです。
- 実線 — 実験に合うプランクの式。可視光のあたりに山があり、短い波長では0に向かう
- 破線 — 古典物理学の予言。短い波長に向かって際限なく増え、グラフの外へ突き抜ける
- 帯 — 目に見える光(可視光)の範囲
もしこの計算が正しければ、温かい物体はどれも、紫外線やもっと波長の短い光に無限のエネルギーを注ぎ込むことになります。現実にはそんなことは起きていません。
短い波長の側、つまり紫外線の側で理論が破綻することから、この問題はのちに紫外破綻と呼ばれるようになりました。
プランクの「絶望的な」仮説
1900年、マックス・プランクは実験データにぴたりと合う式を見つけました。
ただし、その式を理屈で裏づけるには、奇妙な仮定を置く必要がありました。
エネルギーは、水のように連続的に変化するのではなく、決まった大きさの「かたまり」でしかやりとりできない。
振動数 ν の光がやりとりするエネルギーの最小単位。h はプランク定数(約 6.63×10−34 J·s)。
このエネルギーのかたまりを量子と呼びます。
振動数の高い(波長の短い)光ほど、かたまり1個が大きくなります。温度で決まる手持ちのエネルギーにくらべてかたまりが大きすぎると、そのかたまりはほとんど作られない。
だから短い波長の光は出にくくなり、無限大は消えました。
プランク自身、この仮定を本気で信じていたわけではありませんでした。後年、彼はこれを「絶望から出た行為」だったと振り返っています。
【一歩先の視点】歴史の順番について
教科書では「紫外破綻 → プランクの量子」の順に語られることが多いのですが、実際の歴史は少し違います。
プランクが1900年に取り組んでいたのは紫外線の側ではなく、赤外線の側で当時の式が実験とずれる問題でした。
古典論の式が短い波長で無限大になることが広く意識されるのは1905年ごろからで、「紫外破綻」という名前は1911年にエーレンフェストが付けたものです。
この入門編では、分かりやすさを優先して論理の順に並べています。
3-A2光の粒(光電効果)
【問い】光は波か、粒か
19世紀の後半、光は「波」だと確かめられたばかりでした。マクスウェルが光を電磁波だと予言し、ヘルツが実験で電磁波をつかまえた。光の正体には決着がついたはずでした。
ところが、そのヘルツ自身が見つけていた奇妙な現象が、話をひっくり返します。
光電効果 — 強さではなく、色が効く
金属に光を当てると、表面から電子が飛び出すことがあります。これを光電効果と呼びます。
光が波なら、明るい(強い)光ほどエネルギーが大きいはずです。波の考え方からは、こう予想されます。
- 強い光を当てれば、どんな色でも、いずれ電子は飛び出す
- 強い光ほど、飛び出す電子の勢いも大きい
実験の結果は、まるで違いました。
- 光の色(振動数)がある値より低いと、どれだけ強く当てても電子は1個も出ない
- その値より振動数が高ければ、どんなに弱い光でも、当てた瞬間に電子が出る
- 光を強くすると、飛び出す電子の数は増えるが、1個あたりの勢いは変わらない。勢いを決めるのは色のほう
高校で習う亜鉛板の実験がこれです。亜鉛にどんなに明るい可視光を当てても電子は出ませんが、弱い紫外線なら出てきます。
アインシュタインの答え — 光量子仮説
1905年、アインシュタインはプランクの「エネルギーのかたまり」を、光そのものに当てはめました。
光は、エネルギー をもつ粒の集まりとしてふるまう。この粒を、のちに光子と呼ぶようになります。
電子は、光子を1個まるごと受け取って飛び出します。金属から電子を引きはがすには、最低限のエネルギー (仕事関数)が必要です。
光子1個のエネルギーがそれより小さければ、何個ぶつけても電子は出ない。大きければ、余った分が電子の勢い(運動エネルギー)になります。
飛び出す電子の運動エネルギーの最大値。光の強さは式に入っていない。
数字を入れてみます。エネルギーを eV(電子ボルト、1 eV ≈ 1.6×10−19 J)で測ると、光子1個のエネルギーは次のとおりです。
- 赤い光(波長 700 nm)— 約 1.8 eV
- 紫の光(波長 400 nm)— 約 3.1 eV
- 紫外線(波長 250 nm)— 約 5.0 eV
亜鉛の仕事関数はおよそ 4.3 eV。可視光の光子ではどれも足りず、紫外線の光子なら1個で電子を引きはがせます。
光を強くして光子の数をいくら増やしても、1個あたりのエネルギーが足りなければ意味がないのです。
ただし、光子の考え方が出てきたからといって、光が波であることが否定されたわけではありません。光は干渉もすれば回折もします。
光は、波としても粒としてもふるまう。この二重の性格が、量子力学の出発点になりました。アインシュタインはこの仕事で、1921年のノーベル物理学賞を受けています。
3-A3なぜ原子はつぶれないのか(ボーアの原子模型)
【問い】原子は、なぜつぶれないのか
20世紀の初め、原子の中は「真ん中に小さな原子核があり、そのまわりを電子が回っている」ことが分かってきました。太陽のまわりを惑星が回るような姿です。
ところが、ここにニュートン力学と電磁気学を当てはめると、深刻な矛盾が出てきます。
古典物理学が予言する、原子の崩壊
電磁気学には、「加速している電荷は電磁波を出して、エネルギーを失う」という法則があります。円運動も、向きが変わり続ける加速度運動です。
すると原子核のまわりを回る電子は、光を出しながらエネルギーを失い、渦を巻いて原子核に落ちていくはずです。水素原子で計算すると、落ちるまでの時間はおよそ 10−11 秒。
古典物理学が正しければ、あらゆる原子は一瞬でつぶれ、私たちの体も机も存在できません。
もうひとつ、説明できない実験事実がありました。
水素を光らせると、出てくる光は虹のように連続した色にはならず、決まったいくつかの色(波長)だけが飛び飛びに現れるのです。
ボーアの割り切り
1913年、ニールス・ボーアは、原子の中では古典物理学の一部を「停止」させるという大胆な提案をしました。
電子には、光を出さずに回り続けられる特別な軌道がある。その軌道は、角運動量が の整数倍になるものだけである。
ボーアの量子化条件。 はプランク定数を 2π で割ったもの。
なぜそうなるのかは、ボーア自身にも分かりませんでした。
それでもこの条件から、電子がとれるエネルギーは飛び飛びの値に限られることが導けます。
水素原子の電子がとれるエネルギー。
電子が外側の軌道から内側の軌道へ移るとき、そのエネルギーの差を光子1個として放出します。たとえば から に移ると——
波長にすると約 656 nm。水素が出す赤い光の波長とぴたりと一致する。
水素の飛び飛びの色は、飛び飛びのエネルギーの差だったのです。ボーアの模型は、水素のスペクトルを見事に説明しました。
ただし「なぜその軌道だけが許されるのか」は謎のままでした。
しかもボーアの模型は、電子を2個以上もつヘリウムなどの原子では、うまくいきませんでした。
3-A4粒子も波だった(ド・ブロイの物質波)
【問い】電子は、本当に粒なのか
光は波だと思われていたのに、粒としてもふるまった。
1924年、ルイ・ド・ブロイは逆のことを考えました。
粒だと思われている電子も、波としてふるまうのではないか。
ド・ブロイ波
ド・ブロイは、運動量 をもつ粒子には、次の波長の波がともなうと考えました。
ド・ブロイ波長。運動量が大きいほど波長は短い。
この波を物質波と呼びます。
時速 144 km の野球ボールの波長は約 10−34 m。短すぎて、波としての性質はまず見えません。ところが 100 eV ほどの電子なら約 0.1 nm、ちょうど原子の大きさと同じくらいになります。
ボーアの軌道の正体
電子を波だと考えると、ボーアの謎の軌道に理由がつきます。
原子核のまわりを1周してきた波が、出発点で自分自身とぴたりとつながるかどうかです。
- つながる軌道 — 1周の長さが波長のちょうど整数倍。山と山がそろい、いつまでも崩れない定常波になる
- つながらない軌道 — 1周の長さが波長の整数倍からずれている。周回を重ねるたびに山と谷が重なって打ち消し合い、波は残れない
1周がちょうど5波長。波が出発点でなめらかにつながり、定常波として残る。
1周が4.75波長。出発点と1周後の位置(●)がずれ、周回ごとに打ち消し合う。
これを式にすると、「1周の長さ が、波長の 倍になる」という条件です。ド・ブロイ波長 を代入します。
1周の長さが、波長のちょうど 倍。
両辺に を掛けると——
ボーアの量子化条件が、そのまま出てくる。
ボーアが天下り的に置いた条件は、電子の波が1周してつながるという条件そのものだったのです。
1927年には、デイヴィソンとガーマーが、電子を結晶に当てると波と同じように回折することを実験で確かめました。電子は、本当に波でした。
次に必要なもの — 波の方程式
電子は波だった。では、その波は時間とともにどう動くのでしょうか。
ニュートン力学には、物体の未来を決める がありました。電子の波の未来を決めるには、それにあたる波の運動方程式が必要です。
ここから先は、その方程式を実際に自分の手で組み立ててみます。
3-A5波の運動方程式をつくる(シュレディンガー方程式)
1926年、エルヴィン・シュレディンガーは驚くほど素直な発想で、電子の波の方程式を作り上げました。
その道筋を、ここまでに出てきた2つの式だけを使ってたどります。
出発点は、エネルギーの足し算
出発点は、古典力学でもおなじみの「全エネルギー = 運動エネルギー + ポテンシャル」です。
運動エネルギー を、運動量 で書き直しておきます。
エネルギーを、運動量と位置(ポテンシャル)で表した式。
電子の波を式で書く
次に、決まった運動量とエネルギーをもって進む電子の波を、1本の式で書きます。
右へ進む波。 は「空間の揺れの細かさ」、 は「時間の揺れの速さ」。
は、長さ1で角度 の向きを向いた矢印(複素数)を表す記号です。 が増えると、矢印がくるくる回ります。
ここで必要な性質は1つだけです。微分すると、肩に乗っている係数()が前に降りてくる。
は2乗すると −1 になる数(虚数単位)。
そして、この波の と は、これまでに出てきた2つの式で運動量とエネルギーに結びついています。
- ド・ブロイの関係(3-A4)から
- プランク・アインシュタインの関係(3-A1、3-A2)から
(、、 と置き直しただけです。)
「数」を「波への操作」に翻訳する
この波を、場所 と時間 でそれぞれ微分してみます。
波を場所で微分すると運動量が、時間で微分するとエネルギーが出てくる。
運動量をかけることと、波を場所で微分することが、同じ結果になっています。エネルギーと時間微分も同じです。
そこでシュレディンガーは、次の翻訳ルールを採用しました。
運動量は「場所の揺れ具合」を、エネルギーは「時間の進み具合」を見る操作になる。
エネルギーの式には が出てくるので、運動量の翻訳を2回続けて使います。
= −1 なので、符号がマイナスになる。
組み立てる
あとは、エネルギーの式 の両辺を波 にかけ、翻訳ルールで置き換えるだけです。
上段が古典力学のエネルギーの式、下段がその翻訳。
こうしてできあがったのが、量子力学の基本方程式です。
シュレディンガー方程式。左辺がエネルギー、右辺の第1項が運動エネルギー、第2項がポテンシャル。
一見すると難しい偏微分方程式ですが、中身はエネルギーの足し算 を、波の言葉に翻訳したものにすぎません。
ニュートン力学で が物体の未来を決めたように、この方程式が電子の波の未来を決めます。
ただし、これは数学的に厳密な「導出」ではありません。ド・ブロイの波とつじつまが合うように、もっともらしく推測したものです。
方程式の正しさは、水素原子のスペクトルをはじめとする膨大な実験との一致によって確かめられました。物理の基本法則は、いつもこうして生まれます。
3-A6波の正体(ボルンの確率解釈)
【問い】電子の波は、いったい何が揺れているのか
シュレディンガー方程式で、電子の波 は計算できるようになりました。
けれど、水の波なら水面が、音なら空気が揺れています。電子の波 では、何が揺れているのでしょうか。
振幅の2乗が、確率を表す
1926年、マックス・ボルンが答えを出しました。
波 の振幅の2乗 が、その場所で電子が見つかる確率を表す。
ボルンの確率解釈。 は複素数なので、ふつうの2乗ではなく「絶対値の2乗」を使う。
- 波の振幅が大きい場所 — 電子が見つかりやすい
- 波がゼロの場所 — 電子は決して見つからない
そのものは、直接観測できる量ではありません。観測にかかるのは から計算される確率のほうです。
電子は観測されるまで確率の波として広がっていて、観測すると、どこか1点で粒として見つかる。どこで見つかるかは、 の大きさに応じた確率でしか言えません。
ここで大事なのは、確率が顔を出すのは観測のときだけだということです。波 そのものは、シュレディンガー方程式に従って決定論的に時間発展します。
なお、観測の瞬間に何が起きているのかについては、今も解釈をめぐる議論が続いています。
「軌道」の本当の姿
3-A3 と 3-A4 では、電子が円い軌道の上を回る絵を使いました。けれどシュレディンガー方程式の世界では、電子が線の上を回るという描像そのものがなくなります。
水素原子の電子は、原子核のまわりにふんわり広がった定常波として存在します。その が大きいところほど電子が見つかりやすく、まるで雲のように見えることから電子雲とも呼ばれます。「軌道」は、線ではなく、この雲の形を表す言葉に変わりました。
ボーアとド・ブロイの円軌道の絵は、ここへ渡るための、よくできた足場だったのです。
3-A7壁をすり抜ける(トンネル効果)
シュレディンガー方程式を使うと、ニュートン力学では絶対に起こりえない現象が説明できます。トンネル効果です。
古典力学なら、必ず跳ね返る
ボールを壁に向かって転がします。ボールのエネルギーが、壁を乗り越えるのに必要なエネルギー(ポテンシャル )より小さければ、ボールは100%跳ね返されます。
壁の中に入ることさえできません。壁の中では がマイナスになってしまい、運動エネルギーがマイナスという、ありえない状態になるからです。
量子力学では、波が染み出す
電子の場合を、シュレディンガー方程式で調べてみます。
エネルギーが に決まった波では、時間の部分がくるくる回る矢印になるだけなので、形の部分 だけを考えれば十分です。
エネルギーが決まった波。翻訳ルールで左辺の は になる。
これをシュレディンガー方程式に入れて整理すると、こうなります。
波の形 を2回微分したものが、 自身に比例する。比例係数の符号は で決まる。
この符号が、壁の外と中でひっくり返るのがポイントです。
壁の外は 、壁の中は 。 と はどちらも正の数。
- 壁の外 — 2回微分すると符号が反転して戻ってくる関数、つまりサインやコサインになる。ふつうの波です
- 壁の中 — 2回微分すると同じ符号で戻ってくる関数、つまり指数関数になる。実際 です。波は振動をやめ、奥へ行くほど急速に弱まるけれど、ゼロにはならない
古典力学では「入れない」はずの壁の中に、波は染み込んでいきます。そして壁が十分に薄ければ、弱まりきる前に反対側へ抜けてしまう。反対側では、また小さな波として進んでいきます。
エネルギーが足りなければ、ボールは壁に当たって必ず跳ね返る。
波は壁の中で急速に弱まるが、ゼロにはならない。壁の右側に、小さな波として漏れ出る。
壁の厚さを とすると、すり抜ける確率はおおよそ次のように見積もれます(波の振幅が 倍に弱まり、確率はその2乗)。
は、足りないエネルギー と粒子の質量が大きいほど大きい。
数字を入れてみます。
エネルギーが 1 eV 足りない電子が、厚さ 0.5 nm の壁に当たると、すり抜ける確率はおよそ 0.6%。厚さ 1 nm なら、10万回に3〜4回です。原子数個分の薄い壁なら、電子は現実にすり抜けます。
同じ計算を、質量 0.145 kg の野球ボールと厚さ 1 cm の壁でやると、エネルギーが 1 J 足りないだけで、確率は 程度。宇宙の年齢をかけて投げ続けても、一度も起きません。
トンネル効果が日常で見えないのは、 が小さく、身のまわりの物体が重すぎるからです。
机上の空論ではない
トンネル効果は、私たちの身のまわりで実際に働いています。
- フラッシュメモリ — スマートフォンや USB メモリは、薄い絶縁膜を電子にトンネルさせて出し入れすることで、データを書き換えています
- 走査型トンネル顕微鏡(STM) — 針と物質の表面のすき間を流れるトンネル電流は、すき間の幅に極めて敏感です。これを使って、原子1個1個を見分けることができます
- 太陽 — 太陽の中心で水素原子核どうしが融合するには、互いの電気的な反発の壁を越える必要があります。太陽の温度でもそのエネルギーは足りず、トンネル効果で壁をすり抜けて初めて融合が起きます
壁をすり抜ける波がなければ、太陽は輝かず、スマートフォンも動きません。
3-A8まとめ — 第3章へ
| 現象 | 古典物理学の予言 | 実際に分かったこと | 人物・キーワード |
|---|---|---|---|
| 黒体放射 | 短い波長でエネルギーが無限大になる | エネルギーは のかたまりでやりとりされる | プランク(1900) エネルギー量子 |
| 光電効果 | 強い光なら、どんな色でも電子が飛び出す | 光はエネルギー の粒(光子)としてもふるまう | アインシュタイン(1905) 光量子仮説 |
| 原子の安定 | 電子が約 10−11 秒で原子核に落ちる | 電子は波であり、1周してつながる状態だけが残る | ボーア(1913)、ド・ブロイ(1924) 量子化条件、物質波 |
3つの実験は、どれも同じ1つの事実を指していました。
ミクロの世界では、エネルギーや角運動量が飛び飛びの値をとり、粒と波の区別がなくなる。
そこから、量子力学の3つの道具が手に入りました。
- シュレディンガー方程式 — エネルギーの足し算 を、波の言葉に翻訳したもの。電子の波の未来を決める
- 確率解釈 — 波の振幅の2乗 が、電子が見つかる確率を表す
- トンネル効果 — 波は壁の中にも染み込み、薄い壁ならすり抜ける。古典力学では絶対に起こらない
ここから先は、第3章で扱います。第3章では、この量子力学を第2章の解析力学の言葉で見直します。
ここで組み立てたシュレディンガー方程式がハミルトン形式とつながり、波の正体が解析力学の作用と結びついて、ニュートン力学の放物線が「波の干渉の残像」として姿を現します。
次に読む
第3章 量子力学 — 波の重ね合わせから運動を求める
なぜ粒子は、作用が停留になる経路をあらかじめ知っているのか。
入門編で出会った「電子の波」を、今度は解析力学の言葉で見直します。